アレルギー
恋人の第一条件は蕎麦アレルギーであること。それが友人の口癖だった。 　その変な理想のお陰で、友人はミスキャンパスに選ばれるほどの美人にも関わらず、恋人には不自由していた。 　しかし、前の彼と別れてから半年、友人はようやく新たな蕎麦アレルギーの恋人を手に入れた。 　それにしても何故、そんなことにこだわるのだろう。友人自身は、蕎麦アレルギーではないはずなのに。 　実際、友人が学食で蕎麦を食べているところに、私は何度か出くわしたことがあった。 　そんな私の疑問は一ヶ月後、突然の訃報によって解かれることになる。 　その日、友人は恋人の部屋で死んだ。恋人の亡骸をその腕に抱いて。 　友人の死因は、アレルギーによるショック死だった。恋人は失血死。 　どうやら彼は友人と付き合うため、蕎麦アレルギーだと偽っていたらしい。 　食に対する様々なアレルギーが急増しているのは知っていたが。 　まさか吸血鬼も同じだったとは……。 2010.07.06.
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