夕立の庭 - 2
 炎天下。
 遅刻気味のため、急ぎ足で病室に向かいながら。いつものように、私は苛立ちにも似た、不安を抱えていた。
 病院の庭には緑が生い茂っていて。そこにいるときは、普段見ているものじゃなく、もっと広い空を見ることが出来る。
 彼のいる病室を外から確認し、それと一緒に広がった空を見上げる。

 やっぱり。雲ひとつないじゃない。

 天気予報は結局、予報でしかない。
 未来のことなんて。誰にも言い当てられないんだ。

 だから、大丈夫。
 今からでも。未来は、変えられる。

 心の中で、何度も、大丈夫、と繰り返す。不安を、掻き消すように。
 それでも。無意識に、CDを持つ手に力が入っていたらしく。CDショップのロゴの入ったビニール製の袋は、少しだけ伸びていた。
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